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【愛馬の死に際して】とある新興馬主さんの立ち振る舞いに感服

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【愛馬の死に際して】とある新興馬主さんの立ち振る舞いに感服

赤坂 皆様こんばんは。【チームスタリオン】の赤坂です。

【チーム北海道】の週中コラムは今日のところは他の情報ルート仲間に任せて、今日は別の話題をお送りしたいと思います。

私は先週から函館に入りまして、週末はもちろん函館競馬場での取材、それ以外は競馬場だけではなく馬産地各所を巡って色々な関係者とお会いし、こういう場でしか聞けない情報を入手しています。

馬産地取材も我々の主な仕事


特にこの時期は、来月から始まる競走馬セールの数々(セレクトセール・セレクションセールなど)に向けた準備で牧場サイドも、そしてセリで買い物をする馬主さんや調教師の方々も忙しくしていますからね。

この時期恒例の『セール上場予定馬の血縁馬をなんとか勝たせたい!』というようなヤリ話や、『○○産駒をこの時期に勝ち上がらせて、次世代の幼駒を高く売りたい』という思惑が各所で聞かれます。この辺りの話も夏競馬特有の醍醐味です。

この件は機会を改めて色々とご紹介させてもらうことになるかと思いますので、お楽しみに!

引退馬と戯れるのも
馬産地取材の醍醐味です(笑)


さて、先週末の函館開催では、開幕週から万馬券的中あり、今後の馬券に繋がる材料も多々あり、非常に収穫が多い開催になったと思っています。

その一方で、函館スプリントS(G3)に出走したミリアッドラヴは非常に可哀想なことになってしまいました。

昨年の全日本2歳優駿(Jpn1)を制して、今年はサウジアラビア遠征にも挑戦、そして今回は初の芝レースということで今後に向けた指針となるレースのはずが、道中で心臓発作を起こして転倒。そのまま“帰らぬ馬”となってしまったんですよね……。

※心臓発作ですので、骨折などによる予後不良の措置ではなく、心停止でそのまま亡くなったとのこと。


この件に関して、実は一部で、

「この番組を使う必要が本当にあったのか」

「ダート馬なのに芝を使ったから起きたんだ」


というような批判の声があったとのこと。今日はこの件について触れておきたいんです。

ミリアッドラヴ


昨今、一口クラブの人気上昇、SNSの広まり、POG(ペーパー・オーナー・ゲーム)の流行など、様々な要因からなのか、特に馬主サイドに対する謂れなき批判が増えているように感じているんです。


「なんでそんなローテーションで使うんだ!」

「(主に高齢馬に対して)早く引退させてあげてほしい」


というような意見を目にする、耳にする機会が随所にあります。つい最近も安田記念のレース後に軽度の骨折が判明したソウルラッシュ(7歳牡馬)に対して「まだ現役を続けさせるのか!」「馬主は金の亡者なのか」というような批判的な意見が少なからずあったようです。

今年はリバティアイランドの香港での件(レース中の故障⇒予後不良)という衝撃度が大きいアクシデント、それも現役三冠馬の非業な別れという出来事もありましたから、より敏感になっているところがあるかもしれませんが……。


私としても『これが競馬の一面だから』と片付けるつもりはありませんし、もちろん競走馬の死に対して悲しむ気持ちは持ち合わせていますが、それでも、基本的には“決定権は馬主サイドにある”のが今の競馬だと思うんですよね。

今回は馬がレース中に亡くなってしまったということで、その死を悲しむ気持ちが上記のような意見を生んでいるのかもしれませんし、実際に過去にはサンエイサンキューを巡る壮絶な事件もありました。

ですが、今回の件は、携わっている関係者にとって“想定外の不幸”でしかないんです。批判される要素は無いと私は断言したいですし、誰かを悪者にしてはいけないはず。


その意味で、ミリアッドラヴを所有する白石明日香オーナーがレース後に出したコメントは、個人的にはものすごく印象的かつ、オーナーさんの姿勢に感服いたしました。

馬主になって2頭目の所有馬であり、G1級レースを勝った愛馬を不慮の事故で亡くしたばかりという状況にもかかわらず、誰も責めることなく、自身の愛馬に対しても、この馬に関わった厩舎や騎手サイドに対しても非常に毅然とした態度でした

これは馬主情報を担当する人間として、ぜひ皆様にも読んでいただきたかったので、このコラムの最後に掲載させていただきます。


日々、馬主関係者に接触していると、時にこういった悲しい場面に遭遇するものです。

そして、そういうシーンだからこそ見えてくる馬主さんの考えや本音というものも、情報としては非常に大事になります。今日はそんな取材の一幕が伝わっておりましたら幸いです。

白石明日香オーナーのコメント(一部)


ミリアッドラヴが、心房細動によりレース中に倒れ、心肺停止のまま帰らぬ馬となってしまいました。

パドックでは、これまでで一番のコンディションに見え、毛艶も体つきも本当に美しく、ここまで大切に育てていただいたことが伝わってきました。
調教もローテーションも申し分なく、悔いはありません。

最後に会うかどうか迷いましたが、悲しさが勝ってしまいそうだったので、静かに送り出すことにしました。
厩舎の方々が、立髪と蹄鉄を額装して送ってくださるそうです。

私を海外まで連れて行ってくれて、本当にありがとう。
でもお別れするには、あまりに早すぎたね。天国に、いつか私の猫たちが行ったら遊んであげてください。私が行けたら背中に乗せてください。

最後に、馬券を買ってくださった方、応援してくださった方の期待に応えられなかったのは申し訳なく思います。
それでも、たくさんの方に愛されたミリアッドラヴのことを、どうか忘れずにいていただけたら嬉しいです。

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