【日本と海外の違い】リバティアイランドの件について
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皆様こんばんは。チームスタリオンの赤坂です。
先週末の競馬では悲しいニュースがありました。香港のクイーンエリザベス2世カップへと出走していたリバティアイランドがレース中に競走中止、予後不良との診断が下されてしまいました。

海外で命を落としてしまった馬は、日本へと帰ることができません。かつてドバイワールドカップ(1997年)で命を落としたホクトベガもそうでした。帰ってきたのは遺髪だけ……そんな辛く悲しい状況です。
一般の競馬ファンの間で話題になっていたのが、リバティアイランドのローテーションについて。
4/5のドバイターフで8着と敗れた後は、中2週でクイーンエリザベス2世カップへ。国内の競馬での中2週となると調整に苦労する陣営も居る中で、航空機での長距離輸送を挟んだ中2週というローテを疑問視する声も多かったんです。
たしかにリバティアイランドって、今までそんなに間隔を詰めて出走してきた馬ではなかったんですよね。ノーザンファームの馬としてはありがちですが、これまでのキャリアで最も間隔が長かったレースが、中5週でした。
それだけに、今回のローテが故障の原因となってしまった……そう思われる方も多かったみたいです。
ただ、ここに関しては考慮すべき点があります。
香港競馬の馬体検査は一般的に日本よりもシビアにジャッジされると言われています。これは海外競馬の“あるある”でして、日本基準では全く問題ない状態でも、その国の獣医の基準では『出走不可能』とジャッジされる。そんなことがあるんです。
香港では2021年の香港スプリントで大きな落馬事故がありました。日本馬で言えば、ピクシーナイト×福永祐一騎手が巻き込まれてしまった事故ですね。
その起因となったのが一頭の競走馬の故障発生でした。要するに『厳しく馬体検査を行えば、そういった事故が発生するリスクを低下できるのではないか』と主催者側が考えたということ。これに関しては“あるべき形”ですよね。
レースに出走する以上、リバティアイランドはその厳しい馬体検査を通過しているのです。
もちろん、見えない疲れがあるとか、そういった話もあるかもしれませんが……全ての競走馬の故障リスクが戦前に確認できたら、とっくに競馬界における『故障・競走中止』はゼロになっていますから。
たしかに過酷なローテではあったかもしれませんが、ちゃんと馬体の状態を確認した上でレースへと出走しているという背景を考えれば、不運な事故であったと言わざるを得ないんです。
とにかく今回の件に関しては、心中察するに余りあるという状況。少なくとも私は誰かに責任があるとか、そういった話をしようとは思えませんね。
最後に明るい話をしましょう。リバティアイランドがどれだけすごい馬だったか……彼女が残してきた記録の中で、私が特に『これはとんでもない!』と感じた2点をご紹介します。
■最速上がり3ハロンタイム
2歳新馬戦(2022年7/30・新潟5R)にて上がり3ハロン=31.4秒という豪脚で差し切り。このタイムは直線1000m戦を含めた平地戦における上がり3ハロンの最速タイムでした。
■オークス・史上2位の勝ちタイム
二冠目・オークスで記録した2分23秒1という勝ちタイムはオークス史上2位の記録。なお、ペース差があれど翌週のダービーの決着が2分25秒2。その差は実に2.1秒差だった。
しかも当時のラスト2ハロンは11秒6→11秒5と加速ラップでまとめており、まだまだ余力を感じる内容。ペース次第でまだまだ速いタイムを刻めた可能性も……。
改めまして、リバティアイランド号のご冥福をお祈りいたします。北海道のノーザンホースパークではリバティアイランドの献花台が設置されているということですので、私も取材の合間でどうにか足を運びたいものです。